明治神宮 まごころ 栄花物語 「悠久という美しさ」
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    6月13日

     

    明治神宮

     

    まごころ  六月

     

     

    明治神宮の御宝物

    「栄花物語」

    『栄花物語』は平安時代後期の歴史物語で、『栄華物語』『世継物語』ともいいます。

    全四十巻からなり、初めの三十巻を正編、残りの十巻を続編と呼んでいます。

    正編は宇多天皇から後一条天皇まで、続編は後一条天皇から堀河天皇までを扱い、十五代二百年間あまりの宮廷貴族社会の歴史を編年体で叙述したものです。

    正編は藤原道長の生涯を添えて、その栄華を記していますが、儀式や仏事、遊宴などもくわしく記されています。

    内容は、史実におおむね忠実ですが、政治の裏面を描いている点などには物語的要素を認めることができ、『源氏物語』の影響が指摘されています。

     奈良時代から平安時代にかけて朝廷で編纂された国史は、『日本書紀』『続日本紀』などがあり六国史と総称されています。

    古代史の根本史料であるこれらは漢文による編年体ですが、やがて仮名文で書かれた物語風のものがあらわれるようになり、『栄花物語』はその最初のものと考えられています。

     本書籍は昭憲皇太后がご愛読されたものです。

    『栄華物語』およびその名場面を絵画化したものですが、その画風は、上質な絵具の美しい発色と、ていねいな描写によって穏やかで、日本伝統のやまと絵の様式により物語を情感豊かに表現しています。

    昭憲皇太后は『源氏物語』や『伊勢物語』などの古典をご愛読されたことが知られていますが、本書籍『栄花物語』を見ると、紙や綴りの糸が傷むほどくり返しご愛読されたことがわかります。

     ご多忙な日々にあって、平安時代の朝廷と公家社会のようすを記した『栄花物語』を手にされたひととき、昭憲皇太后はわが国の悠久の歴史に宿る伝統の美しさに思いを馳せられたことでしょう。

               (黒田泰三・明治神宮ミュージアム館長)

     

    明治神宮ミュージアムは本年十月二十六日に開館予定です。

     

     

    posted by: 1513neoya | とはずがたり | 03:35 | comments(0) | - |